トップページ > 長野県建築士会のご案内 >会長メッセージ

会長メッセージ

 

2011年5月号 総会挨拶

■地震に対して
約2ヶ月前の3月11日に東日本大震災、翌日には栄村を中心に長野県北部地震が発生し、日本はおろか世界中が震撼する悲惨な事態となっています。原子力発電所の被害拡大については、簡単に手が出せませんが、地震や津波や火災による被害への対応は、私たちが建築士という資格を与えられることと同時に負っている責務だと思います。
栄村の被災支援については、緊急の出動、余震や土砂崩れなどの危険が続く中での作業にも関わらず、連日、大変多くの会員に応急危険度判定・住宅相談・罹災証明の発行申請などの具体的な活動をしていただきました。建築士が良い社会的評価をいただけなかった時期もありましたが、この資格を有することによって、建築士会という専門資格者集団組織を介して、被災地の皆さんの役にたつことができたという事実は、自負してもよいと思います。この後も、復興に向けて、専門家として協力できる場面があると思いますので、引き続き精力的に取り組んでいただければありがたいと思っています。
■会計統合化と法人の選択
公益法人制度改革への対応の一環として、会計の統合化の検討を進めてきました。統合の仕組み、組織体制の調整、会員への周知といった難題をかかえ、各支部に対する説明会や臨時総会なども順次お願いしてきましたが、限られた時間の中で柔軟に対応をしていただきました。この四月から統合を実施しています。
法人の選択についても検討しましたが、今回は見送りすることになりました。
全国では、公益社団法人を選択した県が14、一般社団法人を選択した県が21、未定が12となっています。連合会は、臨時総会で新定款の案を承認して、手続きを進めています。
会計統合を先行したことによって、厳しい財務状況が見えてきました。最も重要なことは、長野県建築士会を持続していくことです。どちらの法人になるにしろ、組織の基盤である財務状況を再構築することが急務です。
■事業について
「建築士フォーラム2010in上田」をはじめ、第10回記念長野県建築文化賞、信州木造塾、景観写真コンテスト、エココンテスト、各種講習会など多くの事業を実施することができました。
6月17日~18日には、「関東甲信越建築士会ブロック会青年建築士連絡協議会長野大会」が松本市の「まつもと市民芸術館」・「ホテルブエナビスタ」で開催されます。震災被害を乗り越えて集う各県の会員をお迎えする場となります。開催して良かったと言える大会となるように、サポートしていただきたいと思います。
今年の「建築士フォーラム」は、長野市の松代地区で開催する予定です。専攻建築士制度も、更新のタイミングになりますので、対象の方々は継続の手続きをしていただきたいと思います。いろいろな活動に一生懸命取り組んでいくのが、建築士会の基本のスタイルだと思います。震災に伴う建築界全体の不安定な状況はまだ続くと思いますが、「がんばろう建築士」・「がんばろう建築士会」という気持ちで、前を向いて!

※今回をもって会長メッセージをお休みします 長い間、ありがとうございました

関 邦則

2011年4月号 東日本大震災への緊急対応

■地震発生
 去る3月11日(金)の午後に地震が発生しました。ちょうど三役・委員長合同会議を開催している最中でした。ゆっくりとした横揺れが長く続いたので、携帯電話からネット情報を見ると、宮城県北部で震度6と出ていました。その直後、これが阪神淡路大震災をしのぐ非常に大規模な地震であることがわかり、強いショックを受けました。岩手県、宮城県、福島県、茨城県の海岸線を中心に、地震・津波・火災によって海岸付近の小さな町がまるごと壊滅してしまうというかつて誰も経験したことのない無惨な状況に、ただただ呆然とするばかりです。加えて福島県にある原子力発電所が被害を受けたことの影響によって、被災地域以外の広い範囲でもパニック状態が続いています。死亡者数、行方不明者数も日に日に増加しているような状況で、報道やネットを見ていてもいたたまれない気持ちにさせられます。
 また翌朝未明にも新潟県に接する栄村で大きな地震が発生し、津波こそないものの住宅や公共施設の損壊などの被害が出ています。
 改まって、被災された地域の皆様に対し、心よりお見舞いと哀悼の意を表したいと存じます。一日も早く平常を取り戻すことができますように、お祈り申し上げます。これほどの状況にあってもなお粘り強く生きようとしている被災地の方々の様子を見ていると、建築士だからこそできる協力をしたいと心の底から思わされます。
■長野県建築士会の対応
このたびは、3月12日(土)の栄村の地震によって、長野県も被災地になりました。東北関東各県とは状況や程度の差はありますが、住民は生活に対して不安を抱えています。
地震直後から、行政の要請による応急危険度判定の作業が行なわれ、現地に近い建築士会会員を中心に対応が行なわれました。
避難場所となる学校施設なども被災しており、3月15日(火)には復旧対策調査も実施されました。まだ雪が深く、余震などによる危険も続く中、突然の要請にも関わらず約25名の会員が迅速に集合して現地に出向いてくださり、頭の下がる思いでした。
3月25日(金)からは、マスコミでも報じられたように、「被災住宅相談チーム」を編成して、村内全住宅の調査及び復興プランの相談のために、一週間に渡り延100人の会員を現地に派遣しています(長野県建設労働組合連合会と協同体制にて実施)。
■連合会・関東ブロックの対応建築士会の現実
関東ブロック各県も被害や影響がありましたが、特に茨城県は大変な事態になっているようです。関東ブロックとしては、急遽東北被災県の建築士会に対して見舞金300万円を拠出することとしましたが、連合会が各ブロックからの見舞金を取りまとめてお渡しするということになりました。見舞金とは別に、自由意志による義捐金も各県の判断で実施することになりましたので、長野県としても義捐金を呼びかけていきたいと思います。本格的な復興は少し先のことになると思いますが、その際には惜しまず協力していきたいと思います。
8月に予定していた全国大会大阪大会は中止することとなりました(鎮魂イベントとして別の形で実行するようになると思われます)。茨城県の全国大会(来年)予定会場も被災して使用できないとのことで、今後の検討課題となりました。

関 邦則

2011年3月号 法人の選択の前に解決しなければならない問題

■財務状況の悪化
 法人制度改革に伴う会計統合をすることになり、本会と支部の会計データを集計してみて気がついた事実があります。
それは、長野県建築士会の財務の悪化の実態が、かなり深刻だということです。将来的に厳しくなることは予想していましたが、現時点においても重症だと思います。
今までは、本会と支部の会計が別々だったこと、決算書が支出超過(赤字)にならないように調整(収入と支出を合わせる等)されていた等の事情で、表立って大きな問題になることはありませんでした。担当者は、繰越金や基金・貯金などの蓄えを流用しながら、なんとか帳尻を合わせるということに腐心していたというのが内々の事情なのでしょう。また、支出の費目をやりくりしてきたというようなことも実態をわかりにくくしてきたのだと思います。
今後収入が減少することについての予想はすでに示した通りですので、今のままの体質や運営方法を続けていれば、本会も支部も、間もなくその蓄えを使い果たしてしまうのは間違いありません。そのときには、もうどうしようもない事態となってしまうのです。
私たちは法人の選択決定に先立って会計統合の検討を進めてきました。その理由はどちらの法人を選択するにしても実現しなければならない会計統合について検討する中で新法人の方向性が見えてくるのではないか、他の団体等の動きを見たいというようなことでした。結果的に、選択の前にこうした実態がわかってきたことは良かったと考えられます。

■どちらの法人になるにしても解決しなければならない問題
 私たちは、この事実を重く受け止めるべきです。これは、新しい法人に移行するということ以前の論点であり、この事態を解決しなければ、長野県建築士会は破綻せざるを得ないということになります。
いま私たちの実力は、法人制度改革のスタートラインよりもずっと手前の位置に立っていると言ってもよいと思います。公益社団法人になるにしろ、一般社団法人になるにしろ、財務の健全回復は最優先の緊急課題として急浮上してきました。
冷静に考えて、この問題を解決しなければ、一般社団法人にすらなれないという気がします。晴れて公益社団法人になったとしても、間もなく長野県建築士会が消滅してしまってはどうにもなりません。これまで、法人の選択について、考えられる基準に沿って議論を進めてきましたが、財務問題によって、状況が急転してしまったという印象です。

■財務改善への対策
 財務回復の対策としては、当たり前のことですが、収入を増やし支出を抑えるしかありません。現実的に考えて、具体的に収入を増やすには会員増強か会費値上げしかなく、支出を抑えるには経費の削減しかありません。
 会員増強は常に私たちの課題ですが、少子高齢化、建設ニーズの減少などを考えれば過度の期待はできないと思います。
会費値上げはこれまでにも実施されてきましたが、いつもそれに伴って会員の減少を引き起こしていました。今後会費への依存度が高くなれば金額的にも大幅にならざるを得ませんが、会費として許容される上限はどれくらいなのでしょうか。プライドを持って高額の会費を納めてくれる会員だけでも残れば良いという意見もあったかと思いますが、建築士会は本来幅広い会員層で成り立っている団体であることを忘れてはなりません。
支出状況のうち建築士会としての活動費・委員会費は極めて僅かとなっています。裏を返せば、長野県建築士会は、維持のための固定費の比率が高すぎるということになります。財務の建て直しを推進するには、ここに着目していくしかないように思います。
各支部においては、長野県全体を見渡した総体的な実情が正しく認識されていないのではないでしょうか。長野県建築士会が存続していくために、各支部及びブロックで、「固定費の削減」等について話し合っていただきたいと思います。

関 邦則

2011年2月号 検証と決断の条件

■建築士会の理想
 私たちの先輩方は、建築士会の設立にあたって、新しい法律や資格の下に嬉々として集まり、「生まれたばかりのこの資格に誇りを持って、結束して向上に努め、社会に認められる立派な存在になろう!」と誓いあったのではないかと思います。
 この大きな目標は、時代が移ろっても変わらない永遠のテーマかもしれません。今、法人の選択にあたって、この目標への強い決意を忘れてはならないと思っています。
■検証
しかし、法人の選択という重要な決断を、理想や目標だけで決するのはあまりにも単純で軽率です。判断に必要と思われるいくつかの基準は既に示してきた通りですが、最も重視したいと考えてきた公益活動への取り組み意識が浸透しているのかは若干不明です。
最終的な判断をするにあたって、自分自身の足元の現実の客観的な再確認は当然必要な手順だと言えます。これまでも会費額のシミュレーション等はしてきましたが、全体の会計状況や展望が見えてきた状態でトータルに実力を検証してみる必要があると考えます。
■建築士会の現実
私たちが今ここで冷静に検証しなければならないチェックポイントは、財政面における会勢の現状と先行き見通しです。本会の会計実態はそもそも厳しいというのが現実ですし、会計統合をすれば余裕ができるというものではないということも、この際認識しておいていただきたいと思います。今後収入額が減少していきそうだということは以前から予測していましたが、具体的な少子高齢化や不景気等による会員の減少数、協力費の廃止方針、社会全般における業務総量の低下に伴う証紙販売等の手数料の減少、他団体の経済状況悪化による事務委託費の減少等々の状況が少しずつはっきりしてきました。一方、何かが増加する見込みや気配は今のところありません。このままでは、財政が破綻することになり、建築士会存亡の危機ということになってしまいます。
■法人の選択決断の条件
財政の悪化は、新法人の運営に影響を及ぼすことになります。収入額が減少しつつ固定費が変わらないということになると、本来の目的である活動のために充てられる費用が必然的に減少するということになるからです。特に公益社団法人になった場合には要求される公益比率50%を維持できるか不安になるという事態に至るかもしれません。
一般社団法人を選択するにしても存続に必要な財政の健全化に務めなくてはなりませんが、公益社団法人を選択するとなれば、財政の健全化に加えて公益比率の確保は何が何でも死守しなければならない必須条件ということになります。
そのための対策としては、会員の増強、会費の値上げ、固定経費の削減ということが考えられます。これらの対策が実現可能か、さらに効果が確実なのかが、判断に際しての鍵になると思われます。実現するためには、会員の皆さんがこの厳しい事態を理解して受け入れていけるかが問われることになります。建築士会を存続させるため、さらに新法人として歩み続けていくために、過去最大の決意と決断をしていかなくてはなりません。

関 邦則

2011年1月号 理想と現実の間

 新年あけましておめでとうございます。本年も希望に満ちた年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。いつまで経っても景気の好転は見られず、それぞれの建築士の置かれた業務状況には迫真の厳しさがありますが、専門資格者としての自己研鑽や仲間との交流親睦を大切にしながら、これから建築士会がどのように地域社会と深く関わっていったらよいかについて皆で考えていく年にしたいというのが今年の抱負です。

 昨年末に開催された評議員会において、私が次期会長候補者として引き続き推挙をいただきました。副会長及び監事候補者共々、当面の大きな課題と将来につながる布石について積極的に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

■会計統合の実施に向けて

 昨年末に各支部に出向いて説明させていただいた会計統合について、理事会で承認されたのを受けて、来る4月から実施していくことになりました。これから年度末に向かって、急激にスケジュールが動き始めます。年始早々のお忙しい時期に大変申し訳ないと思いますが、今月から来月にかけて各支部で臨時総会を開催していただくことになっています。そこでは支部財産の名義変更(本会名義への切替)、支部規約の改正(基本的事項の統一化)、支部事務局の雇用終了(本会雇用への切替)等が議題として挙げられる予定です。会計統合への準備体制の第一歩となりますので、ご理解いただきたいと思います。

支部と本会間での事務処理方法、事務局の配置、会費の統一化等は懸案事項として、今後引き続き検討していきたいと思います。

 

■法人の選択に向けて

 各支部に出向いた際、「公益的な活動に積極的に取り組んでいく気持ちがあるなら公益社団法人に、、、会員の権利を享受することが大切であれば一般社団法人に、、、」との問いかけをしてきました。もし公益社団法人を決断しようとする場合には、永続的に公益活動費が支出総額に対して過半を維持し続けていなければならないという条件があるので、それなりに覚悟は必要だと思っています。これは団体としてのあるべき心構えを確認する正統な質問で、建築士会が一丸となっていくために超えなければならない判断だと思います。

 一方、昨年から建築士事務所協会及び建築物防災協会との情報交換も行なっています。他団体も収支見通しが厳しくなっており、建築士会への事務委託料を減らしてもらうことになるかもしれないとの発言もありました。私たちも協力費は廃止の方向で検討しようとしていますし、証紙等の販売も激減してきています。賛助会員も減る可能性があります。このままでは、近い将来において会費外収入が大きく減る可能性が高く、経費を大幅に減らすか会費を大幅に値上げするかしかなくなりそうです。会員の減少に拍車がかかれば、公益活動費の比率確保が難しくなるかもしれません。この予想は会計統合によるものではなく、支部会計体制を続けていたとしても相当深刻な事態になっていくと思われます。

  このように不景気の影響を受けて急激に悪化していく現実を前にして、今後の選択をしていかなければならない状況に強い戸惑いを感じています。

関 邦則

2010年12月号 建築士会はどこへ行く

 11月後半に県内15支部を巡回し、会計統合の説明をし、法人選択の意見をお聞きしてきました。そこでの印象や課題を少し整理しておきたいと思います。

■会計統合と支部活動
会計統合というのは、支部の会計を本会で集中的に処理するということですから、一極集中的な印象は拭い去れないのかもしれません。これまで通りの支部活動を続けられるのか不安だという気持ちも十分理解できます。しかし気持ちを切り替えて、集中経理方式になっても支部活動のモチベーションを下げずにやっていく方法を前向きに考えていく必要があると思っています。事業計画や予算の起案から実施に至るまで、会員がやりがいや達成感を感じられるような組織であることを失わないようにしたいと思います。
ただ、会計統合の影で見えにくくなっている問題があります。それは、今後の収入減事態に伴って、組織維持に翻弄され支部活動費がかなり圧迫されることになるだろうということです。むしろそういったことが、支部活動に対するブレーキになったり公益事業比率の低下になったりしないことをひそかに願っています。
■法人選択と検討事項
今後の事業の中で、非会員建築士をも対象にしていくことが要求されています。このことによって、会員としてのメリットがなくなると思われているかもしれませんが、会計統合の問題と同様に、プラス思考で事態に向き合っていかなければならないと思います。
法人選択に伴う検討事項を改めて整理しておきますので、意見をお聞かせください。
○公益社団法人を目指す場合
  ※特徴
・不特定多数に向けた事業によって、社会に対して団体の存在をアピールでき、伴ってイメージやステータスが向上する
・公益活動比率50%超を維持し続ける必要がある
・公益事業は収支相償となることが求められる
・免税メリットがある
  ※検討事項
・外部から見たイメージと内部の実質的な気質が一致していることが肝要だと考えられるので、会員が社会貢献意識を高め、公益という意味を十分に理解し、事業を計画することが大切になる(中途半端な気持ちでは次世代まで持続できない)
・収入が減った場合、固定費を縮小しなければ公益事業比率が確保できなくなる
・公益活動比率が低下して、公益社団法人から一般社団法人になった場合には財産を失うリスクを抱えるので、永久に公益社団法人を維持するべく活動する
・建築士会が解散する際にはどのようになるか
・証紙販売(収益事業)は公益事業比率確保のためには切捨てとなるが、維持するとなれば可能な手法を検討する(現金納付化されると手数料収入はなくなる)
○一般社団法人を目指す場合
※特徴
・公益事業比率50%にこだわらない
・収益事業や親睦事業については自由度がある
  ※検討事項
・建築士会館の公益目的支出計画が具体的にどのようになるか
・税額試算が必要
・事務局を行政内で無料使用できるか
○一般社団法人となり、その後時期をみて公益社団法人を目指す場合
  ※特徴
・公益社団法人になることに伴う不安要素を当分の間保留にして、様々な状況が明らかになってから再検討する
  ※検討事項
・切替の時に財産などの扱いがどうなるか
■一致団結
 今後どちらかの法人選択をしなければなりません。どちらになっても異論反論が出されると思いますが、最終的には全員が心を一つにして新しい法人に移行していきたいと思いますので、ご理解をお願いします。

 

関 邦則

2010年11月号 法人選択の議論に進もう

今年度は、法人選択をする前に会計統合の議論をしようということで、組織の構成や会計のシステムの整備について取り組んできました。各支部が存続し、その活動もできるだけ変化のないようにしていきたいという私たち自身の基本的方向性に対して、法律に従って会計処理は本会に一元化していかなければならないという一見矛盾するような難しい課題だったと思いますが、組織運営検討特別委員会・新法人移行推進会議・理事会・三役会の繰返しによってなんとかその概要を整理できてきたと思っています。厳しい経済情勢の中で継続検討にせざるを得ない部分も残っていますが、この概要について、11月後半に各支部をお訪ねして説明させていただきたいと思います。当初から申し上げていますように、私たちがひとつにまとまっていくことができますように、理解を深めていただき、前向きの意見をうかがえればありがたく思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、引き続いて、新法人格の選択について意見をうかがっていきたいと考えています。連合会や関ブロに行くと、「まだ慌てる必要はない」といったような言い方も耳にするのですが、私たちは来年の5月14日の通常総会で方向性を出そうとしていますので、3月の理事会で事前確認をしていきたいと考えています。
私はこれまで会員の意見を十分に聞いて考えたいと言ってきました。現段階でどちらが良いとかどちらにするべきだとか決めているわけではありませんので、議論はあくまでも白紙の状態からスタートしていただきたいと思っています。私の気持ちとしては、以前から申し上げていることで恐縮ですが、将来の建築士会を担っていく方々のご意見をできるだけ尊重していきたいと思っています。

 

■私が聞きたいこと
 私が支部をお訪ねしたりする際などに皆さんから聞きたいと思っていることは、単純にどちらがよいかということではありません。どちらを選びたいかについての『理由』を聞きたいと思っています。
 以前(本HP4月)に、三つの判断基準を言及したと思いますが、そのことは私自身のなかで変わっていません。再確認しますと、

○イメージで決める ○効率効果で決める ○活動方針で決める

ということでした。私としては、イメージや理想やメリットで結論を出すのは、きれいに見えるけれどもそれほど甘いものではないという気がしています。事務手続きなどの理由で決めるのも本末転倒だと思います。あくまでも正々堂々と活動に対する思い入れを見極めて決めたいと思いますが、強いて四つ目の基準を加えると、○実情(会勢)で決める ということがあるかもしれません。
 究極的な言い方をすれば、これから先の建築士会の活動を持続していく中で、社会に向けた公益的活動を積極的に取り入れていく覚悟や情熱があるのであれば公益社団法人として、会員としてより充実した研鑽や交流を続けたいというのであれば一般社団法人としての選択になるのだろうと思います。是非この点についての考えをお聞かせください。

 

関 邦則

2010年10月号 新法人移行アンケート調査結果

 連合会の役員・理事人事のタイミングは長野県と一年ずれているため、今年度になってから、出澤前会長に変わって私が連合会理事に着任しています。去る7月9日の理事会で、次のことをお願いしてきました。
→連合会は公益法人に移行することを決定しており、単位会における選択判断は各県にゆだねるとしているが、各単位会の決断にも関心を持ってほしい。各県がどのような状況にありどのような判断基準に従って法人の選択をしているのか或いはしようとしているのかについて参考にさせてほしいので、現時点での全国各県の情報を一覧化してほしい。
そして、このたび、そのアンケート結果がまとめられてきました。
■全国の様子
既に定款等を定めて申請手続きを進めようとしているところからまだこれから検討を始めるというところまで、進捗については各県毎にかなり開きがあるように思います。
法人の選択判断については、まだ決定していないところが多いのですが、公益法人に移行する予定の県が10、一般法人に移行する予定の県が12となってきています。私としては、どちらに移行するにしても、どのような判断基準によって選択結論をだしているのかを知りたいと言っているのですが、その辺りは明確にされておらず残念です。
各県のコメントを見ると、会計の統合化について苦慮している様子がわかります。連合会はこの種の問題を抱えておらず、各県の切実な実態にあまり現実味を感じていないのかもしれません。神奈川県のようにそもそも本会が直接会員から会費を集めて支部に配分しているようなところを除けば、本会と支部の財務の動きが変わることに不安と困難を感じているようです。支部が建築士会活動の拠所だという認識は、どこも共通だと思います。
■関東甲信越ブロックの様子
9月末日に関東甲信越建築士会ブロック会理事会が開催されました。この席で、連合会のアンケート結果を踏まえて、ブロック各県の移行検討の進捗と判断理由について質問させていただきました。長野県としては、これから法人選択の問題に触れていこうという矢先の段階ですので、各県の状況をここでお知らせするのは勇み足かもしれませんが、一応ホットニュースとして報告しておきたいと思います。結論的に言うと、連合会アンケートではまだ選択決定していないとしていた単位会も実はある程度方向性を固めており、未検討の長野県を除く全ての県が一般社団法人への移行を予定しているということでした。理由については各県ほぼ共通で、公益社団法人を選択した後の公益活動支出比率を継続的に保っていくことができるか、そしていざできなかった場合のリスク(一般社団法人へ強制的に移行させられて保有財産等を失う)は避けたいという判断のようでした。他ブロックでも同様の傾向が増えてきているようで、理想よりも現実をとろうとしている状況にシフトしていることがわかります。支部における共益活動の継続、会員数の減少に伴う財務状況の悪化等の背景も色濃く影響しているのかもしれません。

長野県はどうしたら良いか、いよいよ慎重に検討していきたいという思いを強めました

 

関 邦則

2010年9月号 建築士会の「絆」

 建築士会の集まりや行事に参加していると、いつも必ずと言っていいほど、仲間といっしょに楽しい充実した時間を過ごせてよかったという満足感を覚えます。会議等でいつも会っている人たちも大勢いますが、久しぶりに元気な顔を見せてもらえるようなこともよくあります。もちろん初めて顔を合わせる人もいますが、すぐに和気あいあいとした雰囲気に溶け込んでしまいます。会議だけでなく、懇親の場があれば、一段と口も滑らかになるのは言うまでもありません。自己研鑽とか地域貢献という崇高な活動目標も公な意味において重要なことだと思いますが、こうした熱い語らいを通じて得られる仲間意識はまさに建築士会の醍醐味そのものであると思います。私だけでなく、参加されている一人ひとりも、恐らく全く同じように感じているのではないかと思っています。
■「絆」ということ
 今の時代は、人と人とのつながりが以前とは変わってきています。人間として到底考えられないようなむごい虐待事件や目を覆いたくなるような殺人事件などが加速度的に増加して発生していると感じられます。これは、人に対する尊敬の念や愛情や思いやりが失われ、社会秩序や家庭内秩序が崩れてきたことの証明だと思います。突然このような事態になったわけではなく、元をたどれば恐らく子供たちへの道徳(死語か?)的な教育が希薄になってしまったことなども原因のひとつとして考えられるのだろうと思います。
こんな時代背景だからこそ、「絆」という言葉の持つ重量感をずしりと感じてしまうのではないかと常々感じています。
■法人制度改革と「絆」
 建築士会における「絆」とは、会員同士の交流によって培われた“信頼”と言いかえることができると思います。同じ資格を有しながら共に行動することを通じて共有された達成感や満足感が、会員にとって最も重要な経験であり財産になっているのだろうと思います。会員の軸足や所属意識が身近な支部にあったとしても全く不思議ではありません。
法人制度改革によって組織や会計の仕組みが変わることは前回のメッセージで簡単に触れましたが、そうした現象的な変化よりも、建築士会内部における人間関係が失われたり変わったりしてしまうのではないか、支部の活動や結束に対して何らかの影響が及ぶことになるのではないかという精神的な面での影響について無意識的に不安を感じている人が、もしかしたら少なくないのかもしれないと思うこともあります。
 しかし、私たちは目の前にある法人制度改革の問題に対して後ろ向きであることを許されない状況に置かれています。どんなに大変でも、意識の殻を突き破って、この問題を乗り越えるしか生き残る方法はないのです。議論するにあたって、これまで築いてきた建築士会の「絆」が絶対的に必要になります。それぞれが信頼しあうことが極めて重要です。
 まもなく建築士会の「絆」は新しい局面を迎えることになるのかもしれません。支部内の「絆」を超えた更に大きな建築士会の「絆」を構築していけるように意識の変換をしていきたいものです。 

 

関 邦則

2010年8月号 会計の統合

 法人格の選択とは別に避けられない問題として、会計の統合をしなければならないことは既に申し上げてある通りです。これまで、本会と支部は同じ組織の中に位置づけられながらも、それぞれの会計は全く別物として扱われてきました。そのことについて何ら問題はなかったと認識していますが、これからは法律に従って本会と支部をひとつにした会計をまとめていかなければならなくなりました。全国各県においても、支部の位置づけと会計の統合はなかなか悩ましい問題であるようです。
■統合の検討
 単純に考えれば、15支部の収支決算を合算すれば全体の決算書ができてしまいそうに思いますが、各支部の収支状況や会計手法等の実態を仔細に見ていくと想像以上に違いがあり、そう単純な問題ではないことがすぐにわかります。会計基準を事務的に統一化すれば済むということでもありません。統合の手法についていろいろな不安や抵抗感があることは十分理解しているつもりですが、組織運営検討特別委員会では、そうした実情や新たに要求されてくる課題(専門度の高い会計やリアルタイムに全県の状態を把握する必要等)を真摯に受け止めた上で、このたびの新しい法人のスタートに際して、本会を幹とした単純明快な一元的会計システムに切り替えることを検討しています。
■統合の手法(案)
 会費納付・・・各会員から本会へ口座振替を原則としたい
 支部活動費・・各支部の年間活動計画概要を事前に検討してもらい、それを基に前年度活動実績や全体のバランス等を考慮して、各支部の活動費をまとめたい
 会計帳簿・・・支部からの報告によって随時本会でまとめていきたい
 世の中のどのようなシステムであれ、それを切り替えるということは大変なことだと思います。建築士法や建築基準法が大きく変わった時のことを思い起こしてみれば少し理解しやすいかもしれませんが、まずはシステム下の全員が、少々の異論があっても切り替えを前向きに受け入れていかないと新しいシステムは稼動しません。いざ稼動してからも手直し的な調整は必要かもしれません。ただ、できるだけそうしたリスクを減らすように今後も引き続き検討していきたいと考えています。
■組織の変化(案)
 本会と支部の組織のあり方についても検討がなされています。例えば、理事という呼称も本会・支部間で混同しやすいと考えられるため、整理をすることになると思います。会計の統合化に合わせて、支部総会の位置づけも少し変わることになりそうです。
 ここでお伝えしたことは8月4日の新法人移行推進会議で説明をさせていただいた内容の一部ですが、まだ途中経過の状態です。今後の議論の中で、私たちは心をひとつに合わせること、お互いを信頼しあうことが求められていることを強く感じます。細かい部分での意見の違いが浮き彫りになってくる可能性もありますが、建築士会の信頼と絆で乗り越えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

 

関 邦則

2010年7月号 今年度の事業について

  公益法人制度改革の話題が優先してしまい、通常の委員会の活動の印象が希薄に感じられているかもしれませんが、各委員会の関係者には例年通り着実な取り組みをしてもらっています。通常総会の議案として資料に掲げた事業計画を合わせてご覧いただきたいところですが、いくつかのことについてピックアップしておきたいと思います。

■建築士フォーラム2010IN上田
 昨年まで会員大会と言っていた事業の名称を変更し、「建築士フォーラム+西暦年号+IN+開催地名」とすることになりました。これは一般の方々のオープン参加も可能にして(今までもそういう考え方でやってきたのですが、それをより明確にアピールしたい)、建築士と社会がふれあう場・時としたらどうかという方向性に従ったものとなっています。今年は東信ブロックの上小支部にお願いして上田市で開催します。上小支部の皆さんが非常に張り切って取り組んで下さっているのを感じています。近年は開催地周辺の建築やまちづくりスポットを見学する計画が中心になっていますが、観光とは一味違った視点で地域の魅力を再発見してもらえればよいのではないかと思います。大勢の参加を期待しています。

■第10回長野県建築文化賞
 隔年で実施している建築文化賞もいよいよ10回を数えることになりました。スタート時の企画立案をした者としては、多くの方々の協力をいただきつつここまで育ってきたことに深い感慨を感じています。今年は、節目の回数ということで、会員に限定しない募集を考えています。初めてのことなのでどうなるのか予想できませんが、枠が取り払われることによる新たな刺激になれば良いと思います。外部審査員は東利恵さん(私たちの世代にとって憧れの建築家であった東孝光さんの御令嬢で、軽井沢の星野温泉施設などの設計を手がけておられます)にお願いしています。初めての女性審査員ということですので、これまで応募したことのない方々にも奮って応募していただきたいと思います。

■信州木造塾
 第Ⅲ期後半年ということで、こちらは8年連続の開催になります。毎回華麗な講師陣をお招きして講義をしていただいており類のない貴重な経験をさせてもらっていますが、今年も期待の講師陣となっています。私としては講義を聴く楽しみもありますが、それを自らの仕事に活かしていくことがこの塾の最大の期待ではないかと思っています。言いかえれば、木造の学習を重ねることによって、木造建築文化の復権や新たな展開の実現を企てるというのが潜在的な大目標なのだろうと思っています。第Ⅳ期以降の方針や姿勢についても検討していかなくてはなりませんので、ご意見をお寄せいただきたいと思います。

■関東甲信越建築士会ブロック会青年建築士協議会長野大会の準備
 先ごろ茨城県水戸市にて今年の大会が開催され、大勢の方々にご参加いただいたところです。来年は10年振りに長野県での開催(6月16日(木)~18日(土)に松本市のまつもと市民芸術館)が決まっており、すでに準備が進められています。私も昨年の埼玉大会と今年の茨城大会の様子を見させていただきましたが、各地で繰り広げられている地道だが着実な若い建築士たちによる社会活動事例等を見ていると、そのエネルギーだけではなく、建築士という職能を地域に返していく可能性を見せてもらった気がしました。

 

 

関 邦則

2010年6月号 温故知新(通常総会「長野県建築士会の現況について」の要点)

公益法人制度改革についての進捗状況と今後の考え方について説明します。 
■経過
出澤前会長の時期には、移行期限である平成25年11月30日までのスケジュールを作成しました。その後、公益法人制度について本会と支部のコミュニケーションを良くしたいということで、組織運営検討特別委員会は全支部からの委員構成としました。
この一年間にやってきたことを列挙します。
まず、制度の概要についての学習。
次に、各支部の実態アンケート。各支部の状況の差や経済的な厳しさなどが浮き彫りになりました。
それから、15支部巡回の説明及び意見交換会。たくさんの疑問があることも、誤解があることもわかりました。
そして、それらを元に、「建築士会のあり方」を整理しました。あわせて、今回の法人制度改革にあたっての姿勢もまとめました。重要なことですので、改めて挙げます。
1.連合会・本会・支部の一連体制を維持する
2.支部活動の自立の尊重する
3.会計を統合する
4.社会貢献的視野を導入する
その後、いろいろな条件について検証してみる必要があることがわかりました。専門家にも相談しましたが、単純に結論は出せない、、、と感じました。そういうわけで、じっくり時間をかけて、選択の議決は翌年にしようと考えました。
そして、改めて理解を深めてもらうことと、議論を広く深くしてもらうために、理事会とは別に、新法人移行推進会議を設けました。
委員会では、問題点の洗い出しや整理を兼ねて会計統合の検討に入り、組織フレームと会計システムのモデル化等について研究しています。
■改革への対応
すでに公益法人と呼ばれている団体はたくさんあります。建築士会も公益法人のひとつとしてやってきました。本会も支部も納税面においてその恩恵を受けてきました。例えば、建築士会館もその恩恵のひとつだとみなされます。
そうした無数の公益法人の中には、税金優遇を逆手にとって、私腹を肥やしているような不心得なところがあったり、天下りの温床であったりもしました。あるいは活動の実態がなくなっているところもあると聞いています。
それらを一元的に整理して、最終的に税金をとれるデータにして管理していきたいというのが、今回の改革の最大の眼目だと言われています。言ってみれば、いま流行の仕分けのようでもあり、公益法人の大掃除とでも言えるような企てになっているわけです。
それはわかるけれども、私たちのように真面目に活動している団体にとっては、余計なお世話、いい迷惑、だと思われる人が多いと思います。私自身もそう思っています。一人の不心得な建築士の仕業が、建築士法や建築基準法を厳格化させ、真面目な建築士たちを右往左往させたのと全く同じ構図のようにも見えます。
ですが、法律に基づいてこうした大手術が決まった以上、受けてたたなければ最後は死んでしまう、つまり解散するしかないのです。建築基準法に不満を感じても、法を守らなければ罰を受けることになるのと同じです。
今後の日本は、こうした二者択一の選択の時代になる可能性が高そうです。いままで日本の良さだと思っていた中間ゾーンの美学も、性善説もやがて色あせていくのかもしれません。言わば、物事の判断までがデジタル化しているかのようで、いままでの時代の持ち味であったアナログ的な部分は切り捨てられていくように感じられます。
建築士会は悪いことをしていないので今までと変わる理由はないと考えるのが、素朴で率直な気持ちだと思います。しかし、これが改革と呼ばれている以上、今まで通りではやっていけなくなる、、という現実もしっかりと受け止めなくてならないと思います。
支部を中心とした会員同士の親密な雰囲気は残したい、というのは十分理解していますし、尊重するつもりですが、いつまでも古い殻に閉じこもっているだけでは何も解決できない、いま新しい風が吹いているのだということを機敏に感じ取ってより発展的に意欲的に次の行動を考えていかなくては激動の時代を生き抜いていくことはできない、マイナスをプラスに転換する、、、私はそれこそが、これからの建築士会が逆風の社会を前進していく際に必要な覚悟なのだろうと思っています。
この問題は、感情的にならずに、冷静に立ち向かっていくことが大切です。繰返しですが、将来の建築士会のために、意識や体質を変えていただきたいと思います。
現時点では、法人移行の進捗が極めて低調で、指導や判断が柔軟になっているとの情報もあります。これまた確認申請の円滑化と同じような対応です。今後、様相が変わる可能性もないわけではないので、できる限り最新情報を提供していきたいと思います。
■制度の内容
まず、公益社団法人とは何か、一般社団法人とは何かということから始めます。
○公益社団法人
・公益性の高い事業、つまり不特定多数を対象にした事業に取り組んでいる団体
・活動内容は行政のチェックを受ける
・メリットは、税制の優遇
・数字的な条件は、支出の50%以上が公益性のある事業費
・公益社団法人を取り消されて一般社団法人になった場合には、公益目的取得財産残額を、行政や類似事業目的の公益社団法人に帰属させる
○一般社団法人
・新規であれば、二人の合意があれば設立することが可能
・活動の目的や内容は規制なし。行政のチェックもなし。ただ、建築士会には社会貢献活動が求められている
・税制上、利益が出れば納税
・今まで税制面で優遇されていたことによって所有できた正味財産(例えば建築士会館など)を、計画的に社会に還元(支出)していく
・一般社団法人から公益社団法人に移行するには、条件を満たせば、いつでも可能
 私たちのように既に社団法人であったものは、どちらかを選ぶことができます。選択しないでいると解散となります。
 公益社団法人の可否の判断は、民間人から成る判定委員会というところにゆだねます。
 公益性があるという判断の基準は、不特定多数のために貢献しているか、きちんとしたアピールができているかといった事業内容と、支出の50%以上を公益活動に充てているか、利益を出さないでやっているかといった経済内容とによるようです。
 会計統合については、法人の選択によらず実行しなければならないと県のほうから指導されています。支部活動は継続するとしても、支部の会計は統合しなければなりません。
■今問題になっていること
問題点のうち、代表的なものをいくつか挙げます。
 具体的にどのような活動であれば公益性があると判断されるのかは、けっこう微妙でかなり重要なチェックポイントです。
例えば講習会の場合には、会員限定とせず、一般の参加も促していけば、公益活動と捉えることができるというようなことはわかってきています。
連合会の会費はどういう扱いになるのか、県証紙販売の取扱いは公益であるのかないのかといった点については現在調査中です。
公益活動分の金額が所詮50%にならなければ公益社団法人になりたいと願ってもなれません。50%すれすれでも持続していくのが難しいので、相当の余裕があることが確認できなければ困ります。会員減少は、収支や活動に多大な影響を及ぼすと考えられます。
支部の統合という話もありますが、まったく未定です。
現在支部毎に差のある会費額についても研究中です。
支部特別会計は、ひとまず本会にまとめなくてはならないと思いますが、内々で支部枠を設けて確保したいと考えています。
 理事構成や総会の形式、定款も変えていく必要があります。他にも細々としたことがたくさんあります。
■建築士会の姿勢
制度改革を受け止める立場として守り抜きたいことは3点あります。
・解散しない―どちらかに移行する
・分裂しない―長野県が一つのまとまりを維持する
・持続する―移行後も活動を継続する
■みんなで考えよう
最終結論を出すにあたって、私はあくまでも会員の声を尊重したいと思います。一般企業のようにトップの判断で結論を出すようなものではないし、役員や理事が密室で決めてしまうものでもないと思います。
会員の多数決で決めるというのも無理ですが、すべての会員が自分の問題として考えてほしいというのが、私の基本姿勢です。
■最終判断の基準 
 最終的な判断の基準について、私が考えていることを整理してみます。
・イメージで決める・・・例えば、公益社団法人のほうが世間的なイメージがよい、というような基準に従って判断する 
・効率効果で決める・・・例えば、メリットがあるのはどちらの法人か、というような基準に従って判断する
・活動方針で決める・・・例えば、自分たちは今後どんな活動をしていきたいのか、というような基準に従って判断する
イメージで決めるという判断は、もっとも容易で内容を十分理解していなくても可能です。しかし、私たちの選択は他人のためにするものではないし、適切でない選択をした場合にはやがてほころびが出る可能性があります。
効率効果で決めるという判断は、一見理にかなっているように見えますが、負担感が少ないというだけがメリットだとは思えません。
活動方針で決めるという判断こそ今私たちに求められているものだと思います。公益的な活動中心でいきたいのか、仲間の集団としていきたいのかという判断ということです。
■どちらの法人がよいのか
私自身は、どちらの法人でもかまわないと考えています。
 公益社団法人が格上で、一般社団法人は格下だという人もいます。格下では恥ずかしいという考え方もあるようですが、私はどちらも立派な法人だと思います。私にとって恥ずべきは、この会が分裂したり解散したりしてしまうことです。
■最終判断への問いかけ
公益社団法人がよいですか?一般社団法人がよいですか?と聞くつもりはありません。私からの質問は、公益的活動をしたいと考えますか?そんなことはしたくないと考えますか?ということです。特に若い世代の皆さんはいかがお考えですか?
■スケジュール
 たくさん課題がありますが、来年の通常総会で法人の選択をはかります。新会計システムへの移行をスムーズにするため、2週間ほど早めに開催したいと考えています。
■温故知新
「温故知新」・・・古きを温めつつ、新しきを知る。
改革への対応は、温故知新の精神で取り組んでいきましょうということをお願いして、終わりにしたいと思います。

 

関 邦則

2010年5月号 私たちの現況

3月末をもって平成21年度が終わり、来る通常総会に向けて様々なことが整理されつつあります。それによって、私たち自身の現況が確認されます。今日はそのことについて少しお知らせしておきたいと思います。
■会員数の減少
 会員数の減少傾向は依然としてとどまるところを知りません。この一年間における入会者83名に対して退会者203名となっており、結果として120名少なくなりました。昨年の期末には会員総数3384名だったのですが、今期末時点で3264名となっています。これは仕方のないことなのでしょうか。なんとかしなければならない問題ですよね。私たちは今までこうした事態をどれほどの危機感で受け止めてきたでしょうか。
長野県建築士会が設立された昭和27年には会員数513人だったそうですが、時を経て約30年後の昭和58年には4919人となり、ピーク状態となっています。間もなく60年を迎える建築士会にとって、前半生は拡大、後半生は縮小になっていると言えます。特にこの数年間の減少はかなり急激です(平成11年度に4482人、平成21年度末に3264人)。ちなみに、現時点での会員数は北野幾三会長就任時の昭和46年頃の会員数とほぼ同じになっています。
昨年、各支部にアンケートをお願いしました。その際、将来の支部会員数の予測をしていただいたのですが、5年後の予測数値に達するのに一年とかからなかったのです。
 会員数の減少が、この先の建築士会の活動に影響を及ぼすことは否定できません。予算の数字すら見当がつかない状態になります。だまって減少を傍観しているわけにはいかないのは言うまでもありません。会員の増強は建築士会の存亡に関わる課題だと言っても大げさではないような気がします。昨今は建築士を取得しようとする人が著しく少なくなっており、試験に合格する人も減っています(長野県は特に、、、)。また高齢となり実務から遠ざかっていく人も見られます。そうした背景については冷静に受け止めなければならないのですが、それでも尚、会員増強は真剣に取り組まなくてはならない重要な課題だということを自覚してほしいと思います。
■切迫した財政
 これまで決して財政が厳しくなかったというわけではありませんが、平成21年度の決算はかろうじて赤字を免れたというのが実情です。言うまでもなく平成22年度の予算は大変厳しくなっています。かつてない厳しさだと思っていただいてよいと思います。いよいよこれから会計の統合化をしなければならないという段階に来て、頭の痛い問題が顕在化してきました。予算が赤字というわけにはいきませんから収支予算書の見た目はつじつまがあっているように見えると思います。しかし予算の執行にあたっては、収入がこれ以上減っては困りますし、支出がこれ以上増えては困ります。綱渡りのようにぎりぎりのところを歩んでいかなければならないという非常に緊張を感じさせる状態になっています。
原因は様々です。補助金などがカットされていくことも大きな要因です。会員増による会費増収ができればよいのですが、緊急対策としては、定期講習はじめ自己研鑽となる講習等を積極的に受講していただくことが効果的だと思っています。ご理解とご協力をお願いいたします。

 

関 邦則

2010年4月号 判断の基準

■現状と今後 
例年、年度末から年度初にかけては、年度切替えに伴う様々な事務処理をしなければならないため、建築士会の活動は休止状態になるのですが、今年ばかりはそう言っていられない状況です。組織運営検討特別委員会では、公益法人制度改革に伴う会計統合及び新組織体制等の各論的な事項について、ノンストップで検討を進めています。新法人移行推進会議も過日開催することができ、各支部の具体的な悩みや意見をお聞きする機会となりました。目前の通常総会開催までにどこまで進められるかわかりませんが、一日も早く具体的な方針をまとめられるように努めていきたいと思っています。今後は、会計統合等の具体的な課題に関する検討は委員会中心で、公益か一般かの選択に関する議論は推進会議中心で、というような分担で進めていきたいというのが私の考えです。いよいよこれからが正念場だという思いを強くしています。
■判断の基準とは・・・
 公益社団法人と一般社団法人の違いについて前回整理させていただきましたので、(やや先走ったことになるかもしれませんが)引き続いて、どちらかを選択するという判断に臨んでの基準について私が考えていることを整理しておきたいと思います。

○イメージで決める・・・例えば、公益社団法人のほうが世間的なイメージがよい、というような基準に従って判断する
○効率効果で決める・・・例えば、メリットがあるのはどちらの法人なのか、というような基準に従って判断する
○活動方針で決める・・・例えば、自分たちは今後どんな建築士会活動をしていきたいのか、というような基準に従って判断する

 公益社団法人か一般社団法人かという決断は、しっかりと現状や将来を見据えた上でしなければならないということは言うまでもありません。イメージで決めるという判断は、もっとも容易で内容を十分理解していなくても可能なことだと思います。しかし私たちの選択は他人のためにするものではないように思いますし、うかつに適切でない選択をした場合にはやがてほころびが出てしまう可能性が高いと思っています。効率効果で決めるという判断は、一見理にかなっているように見えますが、天秤にのせたところで、一長一短的な要素もあるので、歴然と差がつくかは難しいところだと思います。負担感の少ないほうを選択するというだけがメリットだとは思えません。活動方針で決めるという判断は、問題の核心をついたもので、今私たちに求められているものだと言うことができます。大雑把に言えば、公益的な活動中心でやっていきたいのか仲間の集団としてやっていきたいのかということに基づいた判断ということになります。最終的な判断は、ここから外れるわけにはいきません。それは、これまで積み重ねてきた「建築士会のあり方」の延長線上に位置づけられるものです。各支部の意見と並行して、今後の活動を背負っていく若い会員の意見を聞きたいと思っています。

 

関 邦則

2010年3月号 考えてほしいこと

 公益法人制度改革のことばかり続いて恐縮ですが、先月の最終部分について追記しておきたいと思います。
 総会が近づいてきていることや徐々に移行期限に近づいていることもあって、今後の方向性について気がかりな方も多いと思います。私としても早く方向性を出して早々に準備を進めていくのがよいと思っているのですが、現段階ではまだ検討中としか言えない状態です。以前から言っている通り、私としては、トップダウンではなく会員の意見を尊重したいという気持ちを強く持っています。多くの方々に自分の問題として考えていただくために、判断材料となる情報を適切にお伝えしていく役割と義務が私たちにはあるのだろうと考えています。組織体としての議論は、役員や支部長を中心とした新法人移行推進会議(新設)という場で進めていくことになると思います。

 

■公益社団法人になるべき・・・
・公益社団法人は公益性(社会性)の高い事業に取り組む団体です。その活動内容は行政のチェックを受けることになります。
・公益社団法人になることのメリットは、税制の優遇ということだと思います。
・公益社団法人になるための条件は、支出の50%以上を公益性のある活動に充てていくことです。現在委員会では、支部の会計を含め長野県建築士会全体支出のチェック計算を行い、さらに詳細な調査を始めようとしています。
・公益社団法人を取り消された場合には、公益目的取得財産残額は行政や類似事業目的の公益社団法人に帰属させることになります。

 

■一般社団法人になったほうがよい・・・
・活動の目的や内容は規制されません。行政のチェックもありません。ただそうは言っても、建築士会には社会貢献活動が求められていることは事実です。
・一般社団法人になると、税制上のメリットというのはなくなりますので、利益が出れば納税することになります。 
・今まで税制面で優遇されていたことによって所有できた正味財産(建築士会館など)を、計画的に社会に還元(支出)していく必要があります。
・一般社団法人から公益社団法人に移行することは、上記の条件を満たせば、いつでも可能になります。 

 

■判断にあたって・・・
 私としては、例えば公益社団法人を取得するために要求される条件をクリアできるか、といったチェックは基礎的な事項として重要なことだと考えています。しかし、現時点でクリアできているというだけでは不安が残ります。建築士会が持続していくためには、法人格に相応しい活動を維持しなければなりませんが、それは自動的にできることではなく、ましてや役員や一部の方々の活動で実現できるものでもありません。私が最も気がかりなのはこの点に集約されます。会員の一人ひとりが、決断した方向性のなかで精一杯の努力を積み重ねることによって始めて建築士会が建築士会であり続けられるということを意識して考えていただきたいと思います。今後の方向性判断には、活動目的に対する会員の“意思”あるいは“覚悟”が最重要だと思うのです。

 

関 邦則

2010年2月号 長野県建築士会のあり方

 公益法人制度改革への検討が続いていますが、いわゆる公益か一般かの選択に移る前のステップとして、この改革に対応するための基本方針を固める必要があると考えてきました。組織運営検討特別委員会での調査・検討に加えて、支部を巡回した際の意見、理事会・役員会での意見などをまとめたものを、「長野県建築士会のあり方」として、理事会で承認していただきましたので以下に示します。

 

長野県建築士会のあり方(総括)
■組織について
①連合会・本会・支部の一連体制の維持
本会は行政や社会からの要請に対する県レベルでのフロントにおり、大きな存在意義を有している
連合会は全国的な連携、組織的な統一行動(法改正や制度実施などへの対応)などにおいて重要な役割を果たしている
地域社会に向けた建築士会活動の成果や効果は、本会及び連合会の存在と相まって顕在化するものであり、既往の秩序を維持し活用したい
②支部活動の自立の尊重
会員にとって支部の存在は身近なものであるので、活動の基盤としての支部体制は継続したい
③会計の統合化
制度改革にともなって(法人の選択によらない)対応せざるをえない必要があり、組織を持続していくために実現しなければならないと考えている
■事業について
①社会貢献的視野の導入
会員にとって有益な事業は持続しつつ、一方で建築士による地域貢献事業に積極的に取り組む必要がある

これは、この先の選択にかかわらず建築士会という集団を継続していくための支柱となるものと考えています。前段の二項目は現状を維持するという内容であり、後段の二項目は現状を変えていかなければならないという内容になっています。中でも“会計の統合化”という項目については相当な作業量が予測されるので、早めに着手していかなくてはならないと思っています。
公益か一般かの選択については、様々な局面から検討を続けている最中です。状況の検証を中心に作業をしていますが、もう少し詳しく研究していきたいと思います。ただ、最終的な判断に至っては会員の“意思”も重要になってくると思っています。以前から申し上げているように、意識や体質の改革も求められてくるでしょう。

 

2010年1月号 “資格者団体”は何をするべきか

 建築士会は資格者団体であり、建築士事務所協会は業務団体である、とよく言われます。他にも建築家協会があり、建築士を取り巻く環境の中で似たような団体がいくつもあることについて疑問視する意見を聞くこともありますが、それぞれの目ざすところは確かに大きく違っています。建築士事務所協会は設計監理業務環境の改善を求め、建築家協会は設計者の尊厳ある新しい社会的地位の確立を求めています。このような活動指標は、社会的に十分な認知を得られない歯がゆい現実に対する苛立ちや不満を解消しようという明快な意図に基づいていると言えます。では建築士会は一体何を求めているのでしょうか?建築士という法律によって保証された資格を背景にして存在する団体ですから、そもそもネガティブなスタンディングポジションではないことは確かです。建築士の社会的地位の向上を掲げているというのが一般的な認識だと思いますが、その実態はどうなのでしょうか。

■建築士会活動の実態  現状で実施されている活動をその目的によって類別してみると凡そ以下のようになるのではないかと思います。

目的

事業内容

対象者

研鑽・研修

見学会・講習会・会員大会・機関紙など

会員

会員サービス

機関紙・HP・CPD証明書・保険など

会員

親睦・交流

ゴルフ大会・各種懇親会など

会員

情報発信

新聞広告・講演会・指定登録機関など

会員外

 これですべてを網羅しているわけではありませんし、目的や対象者が重なっているケースも多いのは承知しています。ただ、このような作業から見えてくることは、建築士の社会的地位の向上をダイレクトに目指した事業は案外少ないのではないかということです。

■資格者団体は何をするべきか  建築士会は資格者団体であると言うとき、私たちはもう少し社会とのつながりを意識しても良いのではないか、というのが今ここで申し上げたいことの結論です。実はこのことは、そのまま公益法人制度改革の問題に直結することであろうと考えています。古くて新しい議論であるメリット論や会費の意義論などについて、旧来の殻の中だけで語っていても、資格者団体としての展望は見えてこないと思われます。密度の高い交流や研修を減らすことを提案しているわけではありません。これからの時代、建築士会は社会の要請に従って社会に向かって積極的に働きかけられる団体になっていかなくてはなりません。 どうすればよいのか、今まさに、会員がいっしょになって考える時が来ているのです。

 

関 邦則

2009年12月号 長野県は一つ・・・!

 11月の前半約2週間かけて、公益法人制度の支部向け説明会を実施させていただきました。各支部の都合を聞いて日程調整して、組織運営検討特別委員長及び事務局長とともに県内全15支部を順次訪問しましたが、文字通り東奔西走の日々となりました。
 制度に関する研究は2年ほど前からスタートしていたのですが、確定した情報が不十分だったこともあって会員向けに具体的な情報提供をすることができないままになっていました。今期に入ってからも理事会席上で協議を行なった程度でしたので、支部の皆さんが聞かれるのは初めてであったかと思います。そのため今回は制度の概要や現時点でわかっている具体的なシミュレーションなどを中心に説明することになりました。
■制度概要のポイント
 制度改革による選択肢
 ・公益社団法人になると、税金の優遇が受けられますが、公益目的事業を50%以上実施することが求められます。
 ・一般社団法人になると、税金を納める団体ということになります。また従来税金の優遇を受けていたために取得したと判断される財産(例えば建築士会館)は公益目的事業として還元支出することが求められます。
 制度改革に伴う会計処理
  法人格の選択にかかわらず、長野県建築士会として会計を一本化する必要がありますので、支部活動は継続するとしても支部会計は統合を試みなければなりません
■各支部の反応
 初めて聞く内容なので理解できなくて当然なのですが、それでも事前に理解を深めるべく学習している支部もありました。支部がなくなるというような誤解もあるようでした。
 法人格の選択の前に支部と本会の関係がどうなるのかに関心は集中していました。どの支部も共通して、非常にまとまりの強いところが長野県の特徴です。支部内の親睦や活動が後退するのは納得がいかないという強い思いが感じられました。そのあたりは私どもとしても全く同じ気持ちで、支部活動にできる限り支障が出ないことを目指しています。会計の統合や会費額に関する具体的な問題解決は今後の検討課題になります。
■まとまろう
細部が見えないとなかなか理解しにくいところもありますが、勝手な想像をして感情的になる必要は全くないと思います。これまで通り長野県が一つにまとまっていくことができますように、会員の皆様方のご理解をお願いいたします。

 

関 邦則

2009年11月号CPD・専攻建築士制度のオープン化

 建築士会CPD制度は、日本社会のパラダイム(その時代において当然のことと考えられている認識)が、馴合い型から責任型にシフトしつつあるのにあわせて、建築士にプロフェッショナルとしての責任を恒常的に意識させながら、リアルタイムな力量等を数値化して社会に向けて表現していこうというモデルととらえることができますが、この自己表現形を社会的評価指標の一つとして有効に活用してもらうということはスタート以来今なお大きな課題の一つとなっています。そうした課題に対する一つの方策として制度をオープン化(会員外の参加も受け入れる)するという情報はすでにご承知のことと思いますが、過日の全国大会山形大会の会議席上で決議されましたので、その概要をお知らせしたいと思います。オープン化のスタートは来年の4月からとなります。これに伴って専攻建築士制度もオープン化されます。詳細はまもなく「建築士」に掲載されてきます。
■新しいCPD制度の概要
主な変更点は以下の通りです。
・建築士会員は全員参加となります。登録費用等は必要最低限化されます。
・会員外の建築士にも参加機会が与えられます。さらに建築士ではない施工管理技士等の参加も可能になります。登録費用等は非会員設定が行なわれます。
・非会員が参加することにより、会費を充当して運営するのは不適当となるので、プロバイダ等からの費用を徴収します。
・公的評価に応えられるようにするために、プログラムは原則として事前に認定されたものに限定されます。それに伴い、実務や委員会活動等の単位はなくなります。
・単位数は実時間により換算され、重み付けはされません。
・年間の最低必要単位数は12単位となります(これまでは36単位)。
・データ登録及び管理は、ICカードを使用することになります。
■新しい専攻建築士制度の概要
主な変更点は以下の通りです。
・会員外の建築士にも認定機会が与えられます。
 ・認定のための単位取得基準が直近1年で12単位となります。更新のためには5年で60単位となります。
 ・CPDカードとあわせたICカードが登録証となります。
 ・設計専攻建築士が統括設計専攻建築士に、生産専攻建築士が建築生産専攻建築士に名称が変わります。
かつて長野県方式と呼ばれていた内容に近いところがあると感じてしまうのは思い過ごしかもしれませんが、個人的にはなんとも複雑な心境です。

 

関 邦則

 

2009年10月号 公益法人制度改革がやってきた

 昨年12月から公益法人制度改革が施行されており、社団法人である私たちの建築士会もこの大きな波を避けて通れない状況に置かれています。この耳慣れない制度改革は、建築に関する法制度改正とはまったく異質な内容であり、それぞれの団体にとって存亡をかけた悩ましい問題になっているものと思われます。この問題は出澤前会長時代からの懸案事項で、今年度もすでに組織運営検討特別委員会において粛々と検討を進めているところですが、これまで詳しく説明することができない状態でしたので、まずは基本的な内容について少し説明しておきたいと思います。近いうちに各支部をお訪ねし、状況説明と意見交換をしていきたいと考えていますので、その節はよろしくお願いいたします。
■どんな改革なのか
今や全国で約25000の公益法人があるそうですが、税制面での優遇措置を逆手にとった悪質な法人が現われたりしていることなどもあって、制度の抜本的な改革が実施されることになったということかと思います。すでに根拠となる法律は施行されており、従来の公益法人は現段階では「特例民法法人」という状態になっています(実際の内容は従来と何も変わりませんが、、)。これからは、公益性の高い活動を志向して税制面での優遇を受けられる「公益社団法人」となるか、そうした活動を特に規定しない「一般社団法人」となるか、どちらかを選択して移行する必要があります。選択しない場合には解散することとなります。移行期限は平成25年11月となっていますので、計画的段階的に手続きを進めていかなければならず、今年度は特に重要なステップとなっています。
■長野県建築士会としての基本姿勢
新たな歩みへの生れ変りのための選択肢は二つしかないため、決断自体は単純です。ただ、長野県建築士会の会員は組織に対して人一倍熱い思いを持ってくれていますので、最終的な判断にあたっては一人ひとりの気持ちを大切にしていきたいと思っています。
今後会員の皆さんと意見交換をするに際しての前提条件を整理しておきたいと思います。
1 解散しない―二つの選択肢のどちらかに移行していきたいと思います。
2 分裂しない―どちらの選択をするにしても組織が今まで通りであることはできなくなります。支部体制を維持することはできても、その運営は変わらざるを得ません。具体的な内容について多くの賛否が出されるものと予測していますが、結果的に長野県が一つのまとまりを維持していかなければ無意味だと考えています。
3 持続する―どちらかの選択をするところまでの合意が成り立ったとして、その先の建築士会としての活動が継続できることが非常に重要なことだと思っています。

 

関 邦則

 

2009年9月号 嗚呼!怒涛の講習会

  建築士法が改正されてから講習会が頻繁に開催されるようになりました。連日講習会に出かけているなどという冗談のような本当の話しも聞かれます。一体どの講習会を受けれいいのか、、。あるいは受けなければならないのか、、。混乱している人も多いのではないかと思います。しかし混乱しているのは受講する立場の方々だけではありません。長野県建築士会では資格に関連する講習会は資格委員会が担当することとしましたが、日程調整や会場手配、募集案内や受付、考査の管理等々、本当に神経を使うものとなっています。
■講習会の種類
続々と案内されてくる講習会を勉強の機会としてとらえ、すべて受講すれば資格者としてベストなのでしょうが、あまり現実的とは言えません。自分にとって(或いは所属する企業にとって)必要なものを選択すれば良いのですが、どんな基準で見極めていけばよいのか、、について少し整理しておきますので、参考にしていただきたいと思います。
○定期講習(義務・有料) 
建築士事務所に所属する建築士(管理建築士を含む)は、3年に一度定期講習を受けるように法律で定められました。終了後に考査があります。建築士会と建築士事務所協会から別々に案内が出ますので、どちらを受講してもかまいませんが、私の立場としては建築士会にお申込みいただければありがたいと思います。受講しない場合は行政処分を受けることがありますので、できるだけ早い時期に受講してください。
○すべての建築士のための総合研修(これまで指定講習と言っていたもの・有料) 
 建築士会主催ですが、会員に限定せず学習の機会を提供するものです。法的な処分はありませんが、建築士として最新且つ総合的な情報を学んでいただきます。
○管理建築士資格取得講習(管理建築士になろうとする場合は必須・有料)
 いままではどの建築士でも管理建築士になることができましたが、3年以上の経験者を対象に資格を取得しなければ管理建築士になれないことになりました。終了後に考査があり、一度合格すればOKです。建築士事務所協会から案内が出されます。
○住宅・建築関係事業者技術向上支援講習(任意・無料)
 国土交通省が、建築士の技術向上を支援するとしているものです。構造計画・耐震補強・省エネ・長期優良などのテーマがあり、基本から最新情報までが含まれています。申込み先は委託業者になっていますので、会場と日時を選んで申込んでください。内容によっては定員を超過する場合もありますので注意してください。
○新・建築士制度普及協議会による講習(任意・無料)
 昨年改正された建築士法の流布を目的につくられた組織による講習で、これから、新しい業務報酬基準の解説や工事監理ガイドラインの解説などの内容を取り上げます。
○建築士会連合会等の要請による講習(任意・費用は内容による)
 連合会等から要請されるものは随時開催します。内容はさまざまとなります。
○長野県建築士会独自の講習(任意・費用は内容による)
 委員会などが企画する講習も登場すると思います。テーマを見て参加してください。

このほかにも、構造設計建築士や設備設計建築士を対象にした講習などがあります。義務の講習は言うに及びませんが、その他の講習については自分自身が困ることがないように熟慮して受講していただくことをお願いします。

 

関 邦則

2009年8月号 資格を維持する・・・ 

 少し妙なタイトルだと思われるかもしれませんが、先月のメッセージのなかで、私たちが置かれている状況を正しく理解しておかないとせっかく取得した大切な資格を失ってしまうかもしれない、、、と書いたことについて、少し書き添えてみたいと思います。
■建築士法改正
 建築に携わる者の一人として、建築基準法や建築士法が改正されたことをご存知ない方はいないと思います。改正された内容を周知するために、幾度となく講習会が開催されました。しかし、重要事項説明などの業務上の手続きに関する部分等が強調されていたためでしょうか、懲戒や罰則については十分な理解がなされていないのかもしれないと思っています。建築士免許証明書申請や定期講習受講の極めて低調な現状を見ていると、そうしたことを強く実感してしまうのです。
 建築士法第10条には、懲戒に関する記載があります。また第38条から44条に渡って罰則が定められています。
 構造計算書の偽造事件以来、私たちの資格は「業務独占」等と言われることが多いのですが、私は、資格の本来の意義は「資質証明」あるいは「資質保証」であると思っています。資格というのは、専門家として訓練された者だけに許される社会的に高い価値を有するものであることを再認識していただきたいと思います。現状では、一度取得した資格は生涯失効することがないという状況ではなくなり、罰金に加えて業務停止や免許取消等の処分を受けかねないということを合わせて認識しておいていただきたいと思います。
■定期講習
 建築士法第22条の2には、建築士事務所に所属する建築士は法によって定める期間ごとに登録講習機関が行なう定期講習を受けなければならない、という内容の記載があります。定期講習を受けない場合も懲戒の対象となってきます。いきなり免許取消というわけではありませんが、知らなかったとか失念していたというようなことでは困ります。
 建築士会では、この定期講習を企画し、会員の皆さんにお知らせをしておりますが、3年間という期限が迫っていないという意識であるのか、あるいは受講義務を知らないのかは定かではありませんが、申込はかなり鈍い状況です。他県でも同じような状況のようですが、期限が来たときに急に申込をされても会場のキャパシティの関係などで受講できない可能性があります。私たちが今から心配しているのは、こうした事態についてです。余計なお世話のように感じる方々もおられると思いますが、早いタイミングでの受講をお勧めしておきたいと思います。

 

関 邦則

2009年7月号 ホームページのバトンタッチ

■経緯と御礼

4年前のこと。やっとのことでホームページ作成ソフトの操作を覚え、自分自身のホームページを細々と運営してきた者が、長野県建築士会の公式ホームページを担当することになりました。その当時はCPD制度と専攻建築士制度の内容を多くの会員に知ってもらうという大きな命題があったので、一ヶ月ほどで全面的なリニューアルを実行しました。
ホームページを運営する上で最も大切なことは、どんなコンテンツ構成にするかということと、できるだけフレッシュな情報を早いタイミングでアップするということに尽きると思います。構造計算書の偽造事件に端を発した法制度改革はあれよあれよという間に進行し、知りたい情報・知らせたい情報には事欠きませんでした。行く先々で撮った写真も予想以上に反響があって、大変多くの方々に親しんでもらったように感じています。4年間に渡って運営を担当させていただいたことを誇りにしたいと思っています。長い間支えていただき、ありがとうございました。この場をお借りしてあつく御礼申し上げます。
このたびようやく念願かなって後任の担当者が決まり、バトンタッチをいたしました。引き続き、長野県建築士会のホームページをご活用くださいますようお願い申し上げます。

■情報化時代の生き方

日々マスコミ等から発信される大量の情報が情報化時代を象徴しているように見えるかもしれませんが、そうした状況は情報の流通劇場(或いはマーケット)を客席から傍観しているのと同じです。私たちの前に提供されてくる数限りない情報は利用可能な情報であるに過ぎず、私たちは無意識にそこから自分に必要な情報を選択しているのです。情報化時代における情報と私たちの関係はとてもパーソナルな関係であると言えます。自身で主体的に情報を求めていかないと必要な情報は得られないというのが、情報化時代の特性の一つだと思います。情報に対するそうした心構えや意識は、CPDの発想にもつながるものだと思いますが、いわゆるひとつの自己責任であると言ってもよいだろうと思います。
昨年末までに建築基準法・建築士法などの内容が大幅に変わりましたが、建築士にとって必須の情報であるにも関わらず、未だ十分な理解が行き届いていないのではないかと少し気になり始めています。法に定められたことを怠ると罰則や懲戒処分によってせっかく取得した資格を失う可能性もありますので、大切な資格を維持していくためにも必要な情報知識を正確にストックしておくよう留意していただきたいと思います。
というわけで、長野県建築士会のホームページも求められる情報提供を目指して、より充実した内容になるように心がけていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

関 邦則

2009年6月号 就任にあたって

■就任あいさつ

 去る5月30日(土)に波田町アクトホールにて開催された第59回通常総会において第12代会 長に選任されました。どうぞよろしくお願いいたします。出澤前会長は、構造計算書の偽造事件に端 を発する激動の法制度改革を受け止めながらも見事に組織を運営してこられました。その堅実な運営 を継承するというだけでも十分な緊張を覚えますが、加えて空前の不景気状況や差し迫っている懸案 事項のことを思うと強い重圧を感じます。

■課題1 公益法人制度改革について

 建築士会にとって現段階での最大の課題は、新公益法人制度改革への対応ということに尽きると思 います。具体的に言うと、公益法人法の改正に伴って、これからの建築士会は「公益社団法人」とし て公益性のある活動に積極的に取り組んでいくのか、「一般社団法人」として建築士同士の活動を続 けていくのか、ということを自分たちで判断しなければならないということです。この件については これまで組織運営検討特別委員会によって調査研究が行われてきました。しかし、内容面でまだ不確 定な部分も多く、継続的な研究課題となっているものです。5年後に新たな法人組織運営をスタート させるというスケジュールだけは確定事項となっていますが、できるだけ早いタイミングで方向性に ついての結論を出していかなければならなくなると予想されます。引続き同委員会を中心に検討を進 めますが、本会と支部の関係や運営の根幹に関わる悩ましい問題も含まれているようですので、会員 各位の率直なご意見をお聞きしつつ方向を集約していきたいと考えています。

■課題2 対外的な活動について

 建築士法が改められたのに伴って、「建築士のための定期講習」や「すべての建築士のための総合 研修」などを定常的に推進していかなければなりません。指定登録機関に指定されたことによる建築 士の登録に関する業務もスタートしています。CPD制度も行政(長野県)業務受注にあたっての評 価項目のひとつに加えられるようになりましたし、景観法に基づく景観整備機構についても各景観行 政団体から順次指定を受けています。今や建築士会は自己研鑽や親睦といった仲間同士のコミュニケ ーション団体という域を超えて、非常に社会性の強い体質に変貌してきています。組織としてとても 大きな責任を背負うようになったということを、会員一人ひとりが改めて自覚していかなければなり ません。資格委員会を常設化したのはこういった背景があるためです。社会貢献委員会の活動におい ても、建築士に対して地域社会が何を期待しているのかを探ってみたいと思っています。

関 邦則

 

テナント募集

長野県庁北の好立地です。
詳細は下記までお問合せください。
(社)長野県建築士会
〒380-0872 長野市妻科426-1
電話:026-235-0561

長野県建築士会入会のご案内